アニメーション監督術 第3回

アニメーション監督術、第3回目の講師は原恵一さん。

原恵一さんは、劇場版クレヨンしんちゃんの特に終わりの2本「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」が話題となり、「河童のクゥと夏休み」を2007年満を持して公開。高い評価を得ている監督です。
今回も原口さんに聞き手として参加してもらい、進行をしていただきました。

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最初に「オトナ帝国の逆襲」のラストの東京タワーのシーンについて、制作エピソードを色々お伺いして、話題は「戦国大合戦」のタイムスリップのシーンに。
なんの効果音もなくあっさりタイムスリップしてしまうことに関して、原さんの意図を聞くと、演出に対するスタンスについて触れる解答がありました。

若いころはカメラワークやアングルで複雑なことをやったり奇をてらうような演出もしていたが、長くやっているうちにシンプルな方がよいと思うようになった。それに大げさに変化を見せるよりも、いつの間にか変化していた方が驚きもあるしリアルだと思う、とおっしゃっていました。
タイムスリップのシーンは確かに少し唖然としますよね、シンプルすぎて。(観てない方はごめんなさい)
でも新鮮な驚きもあったので、なるほどなぁと納得しました。
演出にあたってリアリティがあること、自然であることは常に意識しているようです。

その後はメインである「河童のクゥ」の話題に。
この作品は原監督が20年温めてきた夢の企画だったそうです。
「一般的にアニメーションで求められてことは一切やりたくなかった。」
「いかにもなアニメーション的キャラではなくリアルな少年像を描きたかった。」
こういう言葉の中に原監督の中にある反骨精神や表現に対する欲望のようなものを感じました。

実際に「河童のクゥ」は子供の気持ちの変化がすごく繊細に丁寧に描かれていたと思います。
小学5年生らしいリアルな仕草や台詞は、普段からしている人間観察のたまものだそう。
電車の中で音楽を聴いたり、携帯を見たりしている若者に対して「耳をふさぐな」という熱い言葉もありました。
原口さんからの「クゥで達成できたことは何か」という質問に対し、
「やっとリアリティのある人物が描けた」
「充分ではないが、20年前に作りたいと思っていたことにウソはついてない」
と答えていたのが、とても印象的でした。
どうしても作りたい作品があるって素晴らしいことですよね。
同時にとても幸せなことのように思います。

最後に質疑応答があり、「オトナ帝国」制作時の精神状況が最悪だったこと、でも追い詰められたからこそ逆につきぬけた表現ができるようになったことなど、興味深い話が聞けました。
ボロボロの状態から生まれた「オトナ帝国」が高い評価を受け、自分の「これはダメだ」という感覚も時にはあてにならない。自分の枠で考えすぎていた。と感じたそうです。
固定概念をとっぱらって、柔軟に考えることって大切。とても共感できました。

原作品のリアリティあふれるキャラクター、台詞、演出の魅力や、どんな作品に影響されたか、というルーツについても知ることができ、とても面白い講義となりました。

例のごとく懇親会も行われました。今回は阿佐ヶ谷にある居酒屋にて。
かなり深夜まで続いたそうです。
濃い交流が出来たのではないでしょうか。

原恵一さん。本当にありがとうございました!
第4回目の講師は相原信洋さんです。
日程は12月12日。単回受講も受け付けています。
申込みはホームページの申込フォームより。
今までのような商業ベースの監督ではなく、アートアニメ、実験アニメの作家ということで、どんな話が飛び出すのか、ますます楽しみです!
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by 2008_smallschool | 2009-12-02 21:58 | アニメーション監督術
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