第8回監督術:鈴木伸一×原口正宏

第8回アニメーション監督術は新シーズン一般講座“ユーモアアニメーションをつくる”も開講している鈴木伸一さん。
講演会進行は学校でもおなじみの原口正宏さん。
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レポートです。
鈴木さんはデザインスタジオで働いていましたが、おとぎプロダクションにアニメーターとして入社。当時からディズニーがとにかく大好きだった鈴木さん。
おとぎプロダクションは、鉄腕アトムに先駆けた日本初テレビアニメ“インスタントヒストリー”制作会社。CMも手掛け、代表作は“ふくすけ”。コスト削減のためセルを使いまわしていたそうです。主な制作物は、プロダクション設立者の横山隆一さんの絵が原案。デザイナー仲間には石ノ森章太郎さん藤子不二雄さんがいましたがアニメーターには向いていなく、動きに興味のあった鈴木さんがアニメーターとなりここで我流が出来上がります。

華々しい鉄腕アトムを観て、東映動画や虫プロダクションに憧れるようになった鈴木さん。趣味のおとぎプロダクションから抜け出したくなり、当時中野にあったスタジオゼロに入社します。ここではテレビアニメ作画監督として、東映動画の下請け、レインボー戦隊、パーマン、おそ松くんに関わり、原画も描かれていたそうです。「鈴木さんのパートは個性でわかる。」と原口さん。

その後、アニメーション協会に加盟した鈴木さんは、上映会のために自主制作作品“点”、“ひょうたん”を制作。制約のない世界で純粋にアニメートして遊ぶおとぎプロ精神を持ちつつ、アニメーターとして原点に立ち返ったそうです。
“点”は、会社に負担をかけないために高いセルを使わない、低予算の紙(ペーパー)アニメーション。次々と変容していく先がわからない作風は絵コンテなしでメモ書き、走り書きをインスピレーション源としているから。
原口:「鈴木さんには珍しく下ネタですね。」
鈴木:「人が嫌がることをやってみようと思った。」
“ひょうたん”には当時手掛けていたCM制作の影響があり、紙とカラーインクで仕上げられています。こちらの作品も絵コンテがなく、メモ書きがもととなり、「短い制作時間で一生懸命つくった。」と鈴木さん。吹き出しでは最低限の反応を表現。ブラックな落ち。

ここで原口さんからレア作品“嘆きのボイン”上映。
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歌謡アニメ劇場 1970/4〜1970/9 全26話 フジテレビ系 「祭りだ!ワッショイ!」の1コーナーとして放映された作品。藤子F不二雄デザイン、歌ベース。
藤子さんの落書きから始まり、二人でアイデアを合わせた後に鈴木さんがコンテを担当。
久里洋二さんテイストの作風に原口さんも大興奮。
上映後には会場から拍手が・・・!

国際的アニメーション制作にも参加。
ミナシリーズは、主婦を対象に災害や社会問題を取り上げ、社会的知識向上を目的としたマレーシアのアニメーション。
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英語・日本語版ともに声優アグネスチャン。作画はドラえもんを数多く手掛ける富永貞義さん。
原口:「ベティブープのような唇があごまであるデザインになっていますね。」
鈴木:「ラットさんのキャラクターはユニークな絵で、アニメーションにしにくかったけど面白かった。」
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コンテを鈴木さんが描き上げ、日本で原画、マレーシアで動画・背景・撮影・仕上げ。マレーシアのアニメーターとのコミュニケーションは現地での打ち合わせのみ。チェックする前に仕上がってきてどんどん進んでしまい、アクションやキャラクターを現地のアニメーター好みに変えられてしまったり、いきなりラッシュでみてからリテイクを鈴木さんが直して撮影のみマレーシア、と国を越えたアニメーション作りには壮絶な裏舞台があったようです。

NHKプチプチアニメ“チックンタック”ではコンテ担当、デザイン造形にも関わっています。コンテはセットの数や照明も考慮したきちんとしたもの。
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鈴木:「絵コンテは漫画のつもりで描いて後でつけたします。」
キャラクターは始めは油粘土で、指紋が残る問題からプラスチック粘土に変更。首と胴体は磁石でつなげてあり、目はプラスチック製乾燥粘土を粘着力の弱い糊で固定。
上映した作品は不思議の国のアリスがヒント。

鈴木伸一さんは仕事の他にも多面的活動をしています。
G9+1では自由に制作。2010国際アニメフェアグランプリ受賞作品“東京ファンタジア”ではメンバーが一斉に作画を見せ合ってあみだくじで順番を決めたそうです!
杉並アニメーションミュージアムでは、アニメーションWSを開催。学校でも教鞭して若者育成に貢献している鈴木さん。
鈴木:「体験してアニメーションの面白さを知ってもらいたい。」
アニメーション審査も年に2回されているそうです。
鈴木:「審査は勉強になる。慣れればみんなうまくなる。若者はうまい。ただ内容が少し暗い。もっと明るい作品があってもいいんじゃないかな?フミコの告白(Tete/石田祐康さんの作品)は大好き。ああいうのを作りたい。もっとやってもらいたい。」

生徒から質問タイム♪
●トキワ荘について
鈴木:「今の若者がトキワ荘に憧れるのは昭和の熱い漫画時代、熱い人間関係があったから。巨匠のすぐそばにいることが出来て、友人がすぐそばにいて心強かった。トキワ荘には恋愛話はなかった。赤塚氏はもてたんじゃないかな?」
●若者へのアドバイス
鈴木:「好きなアニメーション以外の古典的アニメーション、初期ディズニーやマクラレン、ワーナーやフレデリックパックなど良いものを観てほしい。昔はなかったような安いDVDで観れますから、勉強してほしい。それを観てから、今のアニメを好きになってほしい。昔のアニメはエネルギーが注がれて考えられたギャグがあり、作られていた。今はちょっとした軽いユーモアの自分たちだけのアニメーション。今に合ってますよね。」

講演会後の懇親会では生徒たちが鈴木さんを囲み、トキワ荘時代の食事を再現した、ラーメン、コロッケパン、野菜炒め、チューダー(焼酎サイダー割)で盛り上がりました。
ディズニーのお薦め本なども紹介してくださいました。
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笑顔の原口さん。
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アニメーションの歴史に深く関わってきた大先輩と話せる機会を持つことができ、受講者も大満足!真摯な態度の鈴木伸一さん、とっても真面目な人柄を感じることが出来ました。
現在鈴木伸一さんの講座開講中です。

色々なアニメーション監督と関わりを持つことが出来る監督術。
次回のアニメーション監督術は、5月27日(土)杉井ギザブロー×原口正宏。
乞うご期待!
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by 2008_smallschool | 2010-05-01 13:15 | アニメーション監督術
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