アニメーション監督術、第10回(2010年度第3回)は杉井ギサブロー監督。
アート・アニメーションのちいさな学校では2回目の講演会です。 ●参考:第1回アニメーション監督術 杉井ギサブロー ご存知、アニメーションの歴史エキスパート、原口正宏さんをコーディネーターに迎え、会場は杉井ギサブロー監督ファンで賑わいました。 ![]() 講演会の様子を杉井監督と原口さんの会話形式でまとめます。 制作の詳細から、杉井監督のディレクション・アニメーション・アニメ・映画の本質的な考えに話が膨らみ集中しました。 全体を読んでもらって、現在杉井監督がリアルタイムに感じていることを大きく把握、感じてもらえたらと思います。 ●はじめに 杉井:「原口さんの面白い切り口を交えながら、気楽に面白く整理しない話をしようと思う。」 原口:「杉井さんとは“悟空の大冒険”や“どろろ”のインタビューの際に一緒にお仕事させていただきました。まんが日本昔ばなしの絵コンテをメインに杉井さんの映像の魅力のエッセンスをお話できたらと思います。」 〈タッチ/銀河鉄道の夜〉 虫プロダクション・東映動画のアニメーター後、35歳で10年間の旅に出て45歳で現場復帰してから銀河鉄道の夜と同時期にタッチを監督。 ●ぶつかった壁 杉井:「アニメーションは絵画性があるもの。アニメはキャラクターの動きを外から捕まえて物語を語ること。内面的なものを表現したいとすると、説明的にしなければならないのか。カット割りだけで物語を語るには限界がある。人の内面を描けないものは自分の一生を費やすのに値するのか?」 そして杉井監督が10年の旅の終わりにいきついたもの 『アニメーションはある種の伝達機能であるから、人の内面を描けるのではないか。』 (この頃あだち充作品に出会います。) 杉井:「動きそのものの、ある種の伝達機能を「内面表現」に使えないか? 例えば、猫が歩いている。どのように歩いているのか、動きの情報をインプットしているけど、自然なために情報の伝達機能を意識しない。 スピード・速度は情感である。ムードを出す時に、ゆっくりだけでなく演出家の想いで情感を入れる。」 ★「タッチ」(テレビシリーズ)OP 〔全シリーズ総監督・OP/ED演出コンテ担当〕 杉井:「OPは表紙。映像5-10分の間にどんな切り口で観てもらうか鑑賞者と意識的にコミュニケーションする。初めの10分でお互いの約束を取り交わす。監督の仕事は、つくり物の世界・架空の世界に必要な理解を示すためにスタッフに基点を伝えること。」 原口:「カメラがゆっくり横パンする杉井さんのスタイルですね。タッチにはキスシーンやみなみの表情などみえない場面がありますよね。熊のぬいぐるみが落ちたりする方をみせて。(みたいのにずるい!)」 杉井:「みた人の想像が大切。上手く描いても絵では描けないから、みてる人の頭の中で描いてもう。全情報は送らない。映画のよさは観客の脳の中で増幅可能なこと。映画芸術の特質はみてる人に描いてもらうことが有効であること。 “どろろ”でも、切る瞬間は描かない。この頃は内面性表現までいっていなかったけれど、スポンサーがカルピスで血が描けなかったというのもあるし、切るという行為は切ったことが問題でなく切ろうとする意識が重要。切るのは物理的な行為でそこには暴力性や残酷性はない。」 原口:「カメラワークで杉井さん演出意識的にしたことはありますか?」 杉井:「若いときから表現するとき材料の欠けているものを意識する。アニメーションは絵画。絵画は記号。映像言語である。絵画の質感・記号性で表現する。リアルなドラマをリアルな絵画で表現する。だけれども、限界がある。」 杉井:「映画は関わる人によって生き生きする。一人でつくるのではない。映画は総合芸術である。映画は生きている。色んな人が関わることによりそれを受け入れて映画が変わる。絵コンテは監督のメモやプランニング。実際作るのは関わった人。骨格がしっかりしてると大丈夫。」 原口:「集団作業ですからね。プランニングが変化していくことに良さがありますよね。」 杉井:「映画は各芸術家、音楽家、演出家、脚本家等、共同作業に本質がある。絵画や彫刻とは違う。映画芸術を“生きる”成り立ちとしてつくる。」 原口:「総監督は他芸術家に手をいれるから、杉井さんがつくるから杉井さんらしくなるとは反対に、他人がやったものがベースで杉井さんらしくなるということですね。」 杉井:「映画は抽象的。素材を組み合わせることによりどう世界をつくるのかということ。 演出家の仕事はディレクション。ひとつの素材をひとつのまとまりに関わった人たちでまとめていくこと。例えば5つのマッチ箱で表現するというようなこと。」 原口:「手直しの工程で一番手をいれるのはどんなところですか?」 杉井:「映像言語ですから、例えば人の頭の上にどの位の空間があいているのかということが観客の心理に影響するので、そこはこだわる。 ラッシュ前テスト時提示されているものが違うものとしてあがってきている時は良いところは受け入れる。自分が思っていたものを受け入れるということは、以後全部受け入れて変える覚悟がいる。“絶対”という振り幅を広く持つ。最終的にあがったものに納得できるか、その変化についていけるか自分を試すようなところはあります。 作る過程で変わったほうが良いという考えです。それは映画が生きているということ。 監督のプランニング通りにあがる作品は僕にとっては死んでいる。そういう芸術家もいるけど、プランでしかない。」 原口:「杉井さんのやりたい指示の中で直したいところはありますか?」 杉井:「コンセプトから外れているものは手をいれさせてもらう。全部“整える”はする。」 原口:「杉井さんの現場は実写映画っぽい現場ですよね。」 杉井:「デジタルによりやれることの幅が広がった。アナログでは全部とり直しのところを直したいところだけ直したり、合理的ですよね。そういう意味ではデジタルは素晴らしい。」 杉井:「タッチ以降、アニメだけでなく、映画とは何か?絵コンテの意味を考えるようになった。」 アニメ素材ではなく演出としてカメラのみ動かす際、ゆっくりとしたカメラワークが最小限のスピードをどこまで出せるか撮影さんに挑戦してもらったそうです。 結果、最小単位は1コマで0.175mmのカメラ回転。 すごい・・・! 速度にこだわった演出が際立った作品が手塚治虫原作「陽だまりの樹」。 ★「陽だまりの樹」 ●手塚治虫作品について 杉井:「手塚さんはプロの漫画家ですから、漫画サービスが上手い。漫画っぽさを取り入れるのか排除するのか、作家の作品要素を解体して組み直します。映画は文学とは別作品。あだち充(作品を手掛けた時)も一緒。漫画文学の時間軸を映画の映像時間軸にする整理をする。そうしないと映画作品にならない。どの作品にもする。原作骨格きっちり生かして、映像作品としてつくり直す。原作と変えないで欲しいという作品はやらない。変えないことは出来ない。変わって当たり前ですから。カット割りに変える時に、何を変えて変えないかそれぞれの監督がそれぞれのやり方で整理しているのだと思います。」 原口:「OPのコンセプトなんかはありますか?」 杉井:「原作では桜の木。「若者の詩」とダブるのを避けて違う木にした。 歴史、万二郎 の死は何であったのか、歴史は女が引き継いでいる、というのをシリーズ全部で表現したかった。」 原口:「これも斬った瞬間を写してないですよね。」 杉井:「刀は使う目的によって意味が異なる。武器を持つ人間の使い方によってアニメの中の使い方が違うことにこだわった。あとは、月夜をリアルに表現したり、心理的空なんです。雲の動きで緊張感を表現したり。 EDでは、女が歴史を引き継いでいる様子をやりたかったけど、予算がなく出来なかった。一つの歴史のメッセージとして本当はそこまでやりたかった。 キャラクターは日本人の二代典型ですよね。良庵はファジー。時代に対応。こんな人ばかりだと日本は安泰するんじゃないかな。一方万二郎は、ならねばならないというような人。 解体して要素を足すと映画的に膨らむ。」 杉井:「アニメーションとアニメをわける。アニメーションは絵画性。アニメはアトム以降映画演劇に近い。この2つを混ぜるのには抵抗がある。カメラワークにより情感があるのは映画的な発想であってアニメーションの発想ではない。」 原口:「作画主体だとカメラは動かないのがアニメーションですよね。作画ではないところに入る映画的演出家の目線ですね。」 杉井:「メタモルフォーゼはアニメの醍醐味。アニメーターは上手くなると素朴なものに感動しなくなる。ドラマには使いにくいけれど、絵画性ならもっと自由であってよい。動きでみせるアニメーションなどドラマとは別の表現がある。絵画的、映画的要素をミックスして制作している。」 カメラワーク際立った作品。 ★「まんが日本昔ばなしー三枚のお札ー」 〈コンテ〉 杉井:「丁寧に描いた。カットつなぎでリズム感を伝える。目のショックをやわらげるためにカメラはゆっくり。和尚・小坊主にカメラを振分けして2人のいる場所をカメラワークで認識してもらう手法。カットでも位置関係が分からないと鑑賞者が欲求不満になるのでアングルなどなんらかの形で位置情報を意識的に入れる。(位置情報を無視するアニメーションもある) スピードや見せ方を使って心理的に代弁させる。 演出プラン、切り口は軽快さと小坊主、和尚の持ってる性格、味を出すこと。」 原口:「キャラクター杉井さんデザインですか?」 杉井:「そうです。柔らかい動きを作品にわざと入れてアニメーターに慣れさせることをしました。固い動きしかできなくらならいように。僕はわりと現場にべったりしています。レイアウトも作画も全部チェックする。固い動きしか描けないアニメーターには柔らかいアニメーションのよさを解説する。 意識的にカメラワークを使ったのと、キャラクター表現をした。 作品世界は全部つくり物ですから、戦略です。演出は戦術。細かい約束事が整っているほどみ易くなる。映像世界は架空なので精密機械のようなものという認識。」 〈アニメ〉 杉井:「企画と脚本を担当。2パターンの原案からつくった。シナリオ化したものと原話からと。作画スタッフはベテランだった。 民話は経緯を書くと文学になってしまう。人間のキャラクター性を出しつつ民話を語ることに挑戦した。 この頃は旅に出ていたので会議がなく絵コンテは見ていない。絵コンテについては35歳から間逆の考えになった。(今は)原画のようなコンテは個人的には好かない。本筋と関係なくスタッフとの関わりで膨らむのが良い。 リズムテンポを大切にしたカメラワークと心理的描写に挑戦。」 ★「まんが日本ばなしーOPー」 〔作画監督:前田庸生)(「タッチ」「銀河鉄道の夜」アニメーション監督)〕 杉井:「12支の中で竜だけが架空の生物。夢に子供がのっているというメッセージ。民話の語り口にあった演出をした。」 ●宮沢賢治作品について 杉井:「宮沢賢治作品は3本つくりたい。1作目は「銀河鉄道の夜」、2作目の「グスコーブドリ」では原話を生かしていかようにも映画世界につくることが可能であるということに挑戦したい。原作を解体する。宮沢賢治の作品は深く分解すると矛盾があちらこちらにある。原本にこだわらずに抜本的にオリジナルとしてやる実験。賢治が童話に託した目的、複数の少年である抽象的なキャラクターということ。人間ではだめ、猫。抽象的存在の意味を猫で代弁した。3作目は20年後にもう一度「グスコーブドリ」をやるとか言ってるかもしれませんね(笑)。」 原口:「杉井さんが原作の解釈に挑まれてることについてじっくり訊きたいですね。」 ●最後に原口さんからコメント。 原口:「杉井さんは(監督術の講座として)もっと回数をかけないと。シリーズ化したいですね。」 アニメーション界、大監督の講演会。1度や2度ではお伺いしきれないです。2時間あっという間に過ぎてしまいました。 ●Q&Aからの杉井さんの言葉 「銀河鉄道の夜」 ・詩は言葉の音楽。意味をとるのではない。 ・詩の朗読や音楽性は重要な要素。 ・宮沢賢治にとって「自己犠牲決別の書」、「生と死の交流場所」ではないか。 ・みやすい映画とは物語を解説的にみせる、または意味をわからせながらみせてくれるもの。 ・映画を人が感じとるということが大事。 ・わざと説明的に描かなかった。 「まんが日本昔ばなし」 ・新しい語り口で語らないと生きた民話にならない。 ・20年つづいたのは、民話をこわさないために骨格を崩さないよう箇条書きルールをつくって過剰な脚色をしなかった。民話はメジャーであるのと時代も良かった。 ・子供が全部わかって親に何もきかないテレビ番組は良くないので、子供に解からない言葉を避けて通らない。 ・世界観をおおきく持つ。裸をだすとかあえてNGのことをやる。 ●懇親会 ![]() ギザブロー監督ファンから各々個人的質問が出ていました。 ![]() 一人一人と穏やかに会話する監督。日本昔ばなしエピソードで盛り上がります。 ![]() 原口さんも生徒に大人気。生徒もアニメーションについて詳しく訊けるのでたくさんの質問が飛び交います。大好きなアニメーションについて熱く語る原口さん。エネルギーいっぱい! ※★ 鑑賞作品 杉井監督のお人柄や会場の雰囲気を書くため重複した内容や表現など多数あります。 ご承知ください。 長くなりましたが最後まで読んでくれてありがとうございました! ------------------------------------------------------------- 次回のアニメーション監督術も詳細が決定次第お知らせします★ ♪アニメーション制作にご興味のある方、ぜひご参加お待ちしています♪
レポートです。
大地丙太郎監督、まとめの一言は 『間が命』 ![]() 大地監督は、漫画・写真・映画が大好きで全部の知識を使えるアニメーションに惹かれ、絵コンテ・音声入コンテ全てをこなす監督。 講義の始めと終わりに平成19年放送“NHK趣味悠々 落語をもっとたのしもう”を鑑賞しました。 大地: 「面白くなくても間が良ければ笑える。呼吸の取り方が大事。(落語)鑑賞者に息を吸わせなくちゃいけない。吸ってはく時に笑いをもってくる。寄席には臨場感のある雰囲気がある。演出の付加価値だね。笑いだけじゃなくて泣きも大事。」 熱いメッセージは 『一歩踏み出す。悩んでいるならやってみる、迷ったらやる!やっちゃえ!四の五の言わずつくっちゃえ。頭で考えないでまずつくる。』 『数多くやる。つくればつくる程良い。習うより慣れろ。』 この言葉にみんなぐっときた様子。 ものづくりをしていると、決断しなければならない場面が様々な箇所であり聴講者各々にとって共感できる言葉でした。 大地: 「つくっていると質問が出る。観てきた良いものみたいに出来ない葛藤。追求しているものは、面白いストーリーと気持ちの良いもの。」 「いつも手探り。楽しくできたな、新しいことに挑戦して“一歩踏み出した”と思えれば良い。」 ■鑑賞作品 ●学生時代自主制作作品「ギターを持ってる渡り鳥」 ゆっくりとした間のギャグアニメで聴講者から笑いが。薄い色、細い線のアニメでした。 ●「 ギャグマンガ日和」第8話 恋のラヴソングをきみに マシンガントークギャグアニメ。物凄い早い台詞回し。 ●「くるねこ」第37話 ゆっくりとした間。飼い主とねこの関係性をギャグ表現したアニメ。 大地: 「エンディング音楽は大事。そのアニメの主旨に合ったエンディングを。くるねこエンディングは句読点の丸の役割。」 本題の演出講義です。 ■コンテ鑑賞 コンテは作品のスタイルによって変わる。赤塚不二夫の影響がある。 ●「おぼっちゃまくん」第62話 BPart みぽりん コンテデビュー作 ペンネーム:中野線路 制作進行の仕事をしながらギャラなし趣味で描いた。下書き3回で丁寧。このままアニメにして欲しかった。 ![]() ●「十兵衛ちゃん」 荒い描きっぷりのラフコンテ。信頼しているアニメーターが大体分かってくれる。 ![]() ![]() ![]() ●「僕等がいた」 落ち着いた感じであまり動きがなく、ほわ~んとしたコンテ。隙間の多いコンテ。 きれいな絵を写してトークしよう(笑)と原作マンガ作品をプロジェクターに映す大地監督。 ●僕等がいた ![]() 原作マンガをアニメーション化する場合、色々な課題が出てくる。 マンガの表現(たとえば“目が描かれていない”マンガ独自の感覚や雰囲気)に対する指示や、忠実にする場合の補い等難しい。 僕らはアレンジャーである。 原作者と同じ感覚、それ以上の感覚をもてるのか、オリジナルファンに訴えることができるのか。 原作は動かないので、アニメーションの設計をどうするか。 仕事なので、自分に向いてない作品も来る。キャストの選択、マンガの始めの印象を念頭におく。 ここで大地監督のビデオコンテを鑑賞。コンテをFinalCutで間による音声を入れたもの。 大地監督自ら声を演出。アニメーターにみてもらって伝える。 始めは恥ずかしかったそうです。「自分でつくるものだから自分は大好き。」と大地さん。 大地: 「良い映画・芸能をたくさん観る。観るだけじゃだめ。自分で出力してつくってみる。出来の良さで精進が決まる。」 ■質疑応答 大地: 「色んな作品を手掛けた方が良い。反応が悪かったとしてもキャラクターの宝になる。経験値になり次のアニメに繋がれば良い。僕の場合はギャグばっかりやってると行き詰まる。」 「自分のアニメーションだからこそというのは、キャストと音楽かな。」 「赤塚不二夫が好き。昔の名作はたくさん観るべき。つくりたいものに近いジャンルのものを。興味があれば観る、なければ響かないから。」 「原作のアニメ化には不安がある。自分が手を加えることによって、やってもらって良かったと言ってもらえると自信になる。原作より面白いものをつくるのが挑戦。」 「中学1・2年までに吸収したものがベース。」 講演会後の懇親会では、大地監督ファンが集まり質問や業界の話で盛り上がりました。 ![]() 残念ながら大地監督は早めの帰宅となりましたが、笑いが絶えない会話はさすが大地監督。 受講者も様々な職種、受講講座者がいて、交流機会になり良かった。 ********************************************************** 次回第10回(2010年度第3回)監督術はアニメーション界の大御所 杉井ギザブロー監督! 杉井監督と直接お会いできるチャンスです!是非ご参加ください。 **********************************************************
講師:杉井ギザブロー×原口正宏
日時:5月29日(土)19:00~21:00 講演会後懇親会あり 場所:アート・アニメーションのちいさな学校 地下劇場 受講料:一般1800円/ちいさな学校学生・過去学生1500円 ●申込み● 杉井監督の紹介サイト ●映画産業振興機構● ●文化庁メディア芸術プラザ●
第8回アニメーション監督術は新シーズン一般講座“ユーモアアニメーションをつくる”も開講している鈴木伸一さん。
講演会進行は学校でもおなじみの原口正宏さん。 ![]() レポートです。 鈴木さんはデザインスタジオで働いていましたが、おとぎプロダクションにアニメーターとして入社。当時からディズニーがとにかく大好きだった鈴木さん。 おとぎプロダクションは、鉄腕アトムに先駆けた日本初テレビアニメ“インスタントヒストリー”制作会社。CMも手掛け、代表作は“ふくすけ”。コスト削減のためセルを使いまわしていたそうです。主な制作物は、プロダクション設立者の横山隆一さんの絵が原案。デザイナー仲間には石ノ森章太郎さん藤子不二雄さんがいましたがアニメーターには向いていなく、動きに興味のあった鈴木さんがアニメーターとなりここで我流が出来上がります。 華々しい鉄腕アトムを観て、東映動画や虫プロダクションに憧れるようになった鈴木さん。趣味のおとぎプロダクションから抜け出したくなり、当時中野にあったスタジオゼロに入社します。ここではテレビアニメ作画監督として、東映動画の下請け、レインボー戦隊、パーマン、おそ松くんに関わり、原画も描かれていたそうです。「鈴木さんのパートは個性でわかる。」と原口さん。 その後、アニメーション協会に加盟した鈴木さんは、上映会のために自主制作作品“点”、“ひょうたん”を制作。制約のない世界で純粋にアニメートして遊ぶおとぎプロ精神を持ちつつ、アニメーターとして原点に立ち返ったそうです。 “点”は、会社に負担をかけないために高いセルを使わない、低予算の紙(ペーパー)アニメーション。次々と変容していく先がわからない作風は絵コンテなしでメモ書き、走り書きをインスピレーション源としているから。 原口:「鈴木さんには珍しく下ネタですね。」 鈴木:「人が嫌がることをやってみようと思った。」 “ひょうたん”には当時手掛けていたCM制作の影響があり、紙とカラーインクで仕上げられています。こちらの作品も絵コンテがなく、メモ書きがもととなり、「短い制作時間で一生懸命つくった。」と鈴木さん。吹き出しでは最低限の反応を表現。ブラックな落ち。 ここで原口さんからレア作品“嘆きのボイン”上映。 ![]() 歌謡アニメ劇場 1970/4〜1970/9 全26話 フジテレビ系 「祭りだ!ワッショイ!」の1コーナーとして放映された作品。藤子F不二雄デザイン、歌ベース。 藤子さんの落書きから始まり、二人でアイデアを合わせた後に鈴木さんがコンテを担当。 久里洋二さんテイストの作風に原口さんも大興奮。 上映後には会場から拍手が・・・! 国際的アニメーション制作にも参加。 ミナシリーズは、主婦を対象に災害や社会問題を取り上げ、社会的知識向上を目的としたマレーシアのアニメーション。 ![]() 英語・日本語版ともに声優アグネスチャン。作画はドラえもんを数多く手掛ける富永貞義さん。 原口:「ベティブープのような唇があごまであるデザインになっていますね。」 鈴木:「ラットさんのキャラクターはユニークな絵で、アニメーションにしにくかったけど面白かった。」 ![]() コンテを鈴木さんが描き上げ、日本で原画、マレーシアで動画・背景・撮影・仕上げ。マレーシアのアニメーターとのコミュニケーションは現地での打ち合わせのみ。チェックする前に仕上がってきてどんどん進んでしまい、アクションやキャラクターを現地のアニメーター好みに変えられてしまったり、いきなりラッシュでみてからリテイクを鈴木さんが直して撮影のみマレーシア、と国を越えたアニメーション作りには壮絶な裏舞台があったようです。 NHKプチプチアニメ“チックンタック”ではコンテ担当、デザイン造形にも関わっています。コンテはセットの数や照明も考慮したきちんとしたもの。 ![]() 鈴木:「絵コンテは漫画のつもりで描いて後でつけたします。」 キャラクターは始めは油粘土で、指紋が残る問題からプラスチック粘土に変更。首と胴体は磁石でつなげてあり、目はプラスチック製乾燥粘土を粘着力の弱い糊で固定。 上映した作品は不思議の国のアリスがヒント。 鈴木伸一さんは仕事の他にも多面的活動をしています。 G9+1では自由に制作。2010国際アニメフェアグランプリ受賞作品“東京ファンタジア”ではメンバーが一斉に作画を見せ合ってあみだくじで順番を決めたそうです! 杉並アニメーションミュージアムでは、アニメーションWSを開催。学校でも教鞭して若者育成に貢献している鈴木さん。 鈴木:「体験してアニメーションの面白さを知ってもらいたい。」 アニメーション審査も年に2回されているそうです。 鈴木:「審査は勉強になる。慣れればみんなうまくなる。若者はうまい。ただ内容が少し暗い。もっと明るい作品があってもいいんじゃないかな?フミコの告白(Tete/石田祐康さんの作品)は大好き。ああいうのを作りたい。もっとやってもらいたい。」 生徒から質問タイム♪ ●トキワ荘について 鈴木:「今の若者がトキワ荘に憧れるのは昭和の熱い漫画時代、熱い人間関係があったから。巨匠のすぐそばにいることが出来て、友人がすぐそばにいて心強かった。トキワ荘には恋愛話はなかった。赤塚氏はもてたんじゃないかな?」 ●若者へのアドバイス 鈴木:「好きなアニメーション以外の古典的アニメーション、初期ディズニーやマクラレン、ワーナーやフレデリックパックなど良いものを観てほしい。昔はなかったような安いDVDで観れますから、勉強してほしい。それを観てから、今のアニメを好きになってほしい。昔のアニメはエネルギーが注がれて考えられたギャグがあり、作られていた。今はちょっとした軽いユーモアの自分たちだけのアニメーション。今に合ってますよね。」 講演会後の懇親会では生徒たちが鈴木さんを囲み、トキワ荘時代の食事を再現した、ラーメン、コロッケパン、野菜炒め、チューダー(焼酎サイダー割)で盛り上がりました。 ディズニーのお薦め本なども紹介してくださいました。 ![]() 笑顔の原口さん。 ![]() アニメーションの歴史に深く関わってきた大先輩と話せる機会を持つことができ、受講者も大満足!真摯な態度の鈴木伸一さん、とっても真面目な人柄を感じることが出来ました。 現在鈴木伸一さんの講座開講中です。 色々なアニメーション監督と関わりを持つことが出来る監督術。 次回のアニメーション監督術は、5月27日(土)杉井ギザブロー×原口正宏。 乞うご期待!
第8回アニメーション監督術講師鈴木伸一監督に決定!
■鈴木伸一 杉並アニメーションミュージアム館長•藤子不二雄の漫画キャラクター“小池さん”のモデル。ベテランアニメーター集団「G9+1」設立者であり、最新作「TOKYOファンタジア」では2010国際アニメフェアで公募作品グランプリ受賞! 日程:5月1日(土) 時間:19:00〜21:00 講演後、懇親会有 お申し込みはこちらからお願いします。 一般講座「鈴木伸一さんとユーモアアニメーションをつくる」もスタート! 大ベテランに商業ベースではない明るく楽しい自由な作品作りを教えてもらう絶好のチャンスです!受講生徒大募集中です。是非チェックしてみてください。 ![]() 第7回監督術「NHKどーもくん」「こまねこ」でおなじみの合田経郎講演会が行われました! 講演会の様子をレポートします* 合田監督の優しくほんわりとした雰囲気でスタート。 合田流監督法は、“スタッフと一緒にやっていく”“スタッフのみんながそれぞれ自由に楽しみながらやってもらう”ということ。 「色んな人と仕事をするのが楽しい。もっと知りたいのでやっていて楽しい。そのために、スタッフ一人一人の好みの食べ物を調べたり個性を知りつつ、スタッフが始めのテーマから飛び出した時だけまとめる。コンテより良いものを創っていきたい。」と語る合田さん。 ![]() 合田監督は、6年前にティーワイオーのCMディレクターから独立して一人っきりの会社『dwarf』を設立しました。 主な仕事は、「キャラクター作り」・「ストーリー考案」・「絵コンテ」。 一番大切にしているのは人に伝えるための「絵コンテ」で、仕事の70%を占めるそうです。 実際に現場で使われている合田さん手描きの実物絵コンテを鑑賞する事が出来ました。 どーもくんがうまれた一番はじめのイメージスケッチです! ![]() ほんわかとしたスケッチに会場から微笑みが湧きます。 合田さんはどーもくんの感情を、まぶたや汗をフル活用して表現。 声の秘密についてのお話もありました。 人形の具合が悪いと、スタッフのみんなで「骨折だ!骨折だ!」と治しに連れて行くそうです。 ちなみに、こまねこの関節は、人形関節の第一人者小前隆氏。 「ストーリーは“子供の頃の記憶”が頼り。それがオリジナリティ。 Detailまで思い出すこと。ほっぺたに手をあてた時の感触、足が冷たかったこと、一生懸命思い出す。変わった子でなければ、共感を得られる。」 「撮ったものを観た時が一番嬉しい。撮る時の緊張感はずっと変わらない。」 合田監督作品のアニメートは、ほぼアニメーターの峰岸裕和さんが担当。 大ベテランで、本校校長でもある真賀里文子さんと仕事をしたことも。 「アニメーションには、アニメーターの人間性がでる。女の子っぽい子がアニメートすれば、どこかかわいらしい女の子っぽい動きになる…(以下省略)」 東京都写真美術館での覗き穴展示「絵コンテの宇宙-イメージの誕生展」では、1ヶ月こまねこ公開コマ撮りをしました。 海外での評価も高く、外国版どーもくんは「日本の俳句」のようと評されているそうです。 ハロウィーンバージョンなどもありとてもかわいかったです。 質問タイムには、同業界で働く聴講者から色々な質問がでました。 講演会の後には、劇場の上のライブラリーで交流会。 ![]() ![]() 合田監督ファンが集まり、サインをもらう参加者たち。 ![]() 一人一人に描くイラストに一つ一つ個性があり、みんなとても嬉しそうでした。 合田監督には、優しくほのぼのと周りの人のやりたいことをどんどん取り入れる中にも、譲らず変わらずという芯が垣間見えました。 「僕は何も出来ません。」と一貫してとても謙虚な姿勢。 お話の最中も、聴講者がメモを取っていると、「どきどきするので消してください。」とおっしゃっていました。 実際にお話をお聞きして、おいしいごはんを食べながら、サインもいただいて、みなさん大満足の監督術講演会でした。 実際に活躍する監督に直に触れることができ、とても近い距離で話をすることができる監督術講演会。 他ではなかなか出来ないとても貴重な機会です♪ 監督術新情報は学校ホームページにどしどしアップしていきますので、是非チェックしてくださいね☆
アニメーション監督術第6回レポートです。
今回の講師は「白蛇伝」「鉄腕アトム」など日本アニメ黎明期から活躍する重鎮、りんたろう監督です。 進行役はやっぱりこの人、原口正宏さん。 ![]() 綺麗な紫色のセーターを身にまとい「ダンディー」という言葉がぴったり!なりんたろうさん。 ![]() 今回は代表作「迷宮物語」と最新作「よなよなペンギン」(初のフルCG作品)から「アニメーションとは何か?」という根本的なテーマを解き明かします。 アニメーションの言葉の原点は「アミニズム」(原始)であるというところから話はスタート。 最近のアニメーションはストーリーが中心になっているが、映像が言語を超えて語りかけてこないとアニメーションではない。と監督は語ります。 重要なのは、絵や言葉で説明するのではなくいかにイマジネーションを触発するか。 代表作「迷宮物語」を鑑賞し、コンテを見ながら解説。 1989年劇場公開された迷宮物語は、眉村卓の小説を元にしたオムニバス形式の作品で、「ラビリンス*ラビリントス」(りんたろう監督)、「走る男」(川尻善昭監督)、「工事中止命令」(大友克洋監督)の全3話で構成されています。 りんたろうさんのパートは物語入り口として(案内役)日常から非日常の世界にいざなう役割をしています。 そこに描かれているものは監督の子供の頃の心象風景。 路地裏、缶けり、見世物小屋。 キャラクターの線がやわらかで、かつ妖しげで、動きや音、色合い、カットわり、様々な要素が強い印象を残していく、まさに言葉を超える映像表現! 感動したのはりんたろう監督の絵コンテ! 一枚一枚がかなり丁寧にかっちり描かれていました。 監督曰く、この時点で完成のイメージがはっきりと頭の中にあるのだとか。 監督は自分の作品の特徴は「光と闇」を描くところだと語ります。 そういう意味でも日常から非日常へとつながる「迷宮物語」、裏の東京が表へ出ようとする「よなよなペンギン」もりんたろう作品の特徴を感じさせます。 そして「よなよなペンギン」は元々CG嫌いだった監督の初めてのフルCG作品。 CGが嫌いだからといって否定はしない。 「CGについて考えてみようと思って」という監督の言葉に、CG盛りの「今」を見据えた上でのアニメーションの未来を考えているように感じました。 「CGにはもっと可能性がある」といいながら、「コンピューターは勝手に何でもやってくれる怖さがある」との指摘も。結局は使い手の問題で、CGだってひとつのツールでしかない。表現するのはやっぱり生身の人間ですもんね。 「マシーンを飛び越えたところでマシーンを使え!」 ![]() か、かっこいい…。 お話を聞いていて、何に対しても表裏一体な部分をちゃんと見ている方なんだな、と思いました。 「よなよなペンギン」の絵コンテも凄まじかったです。 キャラクターと背景をレイヤー別に取り込んで、動きを確認できるかなりの力作! 「ここまでくると病気だね」と監督(笑)。 リミテッドアニメーションのような絵コンテムービーもそれだけで充分見ごたえがありました。 絵コンテを徹底的に描くのも自分のイメージをちゃんとスタッフに伝えたい。そんな監督の思いに他ならないのでしょう。日本人同士だって感覚のすれ違いがある中、フランス、バンコクでの作業ではさらに言葉の壁、感覚の違いに悩まされたそうです。 ただ「動く」だけではダメ。カットとカットのつながり、「間」を意識して動画を描いてほしいのに、なかなか伝わらない。最後には身ぶり手ぶりでのコミュニケーションです。 「映画を作るのは苦労の連続。しかし最後の最後には皆が幸せになってないと。」 りんたろう監督の言葉から温かさがにじみ出ます。 アート・アニメーションのちいさな学校は、手づくりのアニメーションを継承していくためにつくられた学校。CGで作品を作っている生徒は一人もいません。 りんたろう監督の作品がCGであっても、監督の精神は、この学校が持っている精神となんら変わりはないように思いました。 沢山名言も出ましたが、今回のベストはコレに決定! 「アニメーションはボーダレス」 国や手法のカベを飛び越えたところで勝負が出来る。そんなりんたろう監督のアニメーション監督術。本当に面白かったです。 胸が熱くなりました。 よってレポートも長くなりました。。 読んでくれた方、ありがとうございます。 ![]() アニメーション監督術、今後の講師陣にも乞うご期待!
なかなか次の講師が決まらなかったアニメーション監督術。
やっと第6回&7回の詳細が決まりました! 現役プロの監督さんを招く、ということでなかなかスケジュールの調整が難しく、受講生の方々には大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。 残り4回、最後までよろしくおつきあいください。 ● 2月20日(土) 午後7時〜9時 講師:りんたろう監督 りんたろう 手塚治虫の虫プロ設立時にアニメーターとして参加し、テレビアニメ「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」の演出を担当。アニメ映画「銀河鉄道999」で初の劇場用長編初監督を努め、大ヒット。 その後マッドハウスを拠点に「幻魔大戦」「カムイの剣」「火の鳥 鳳凰編」「迷宮物語」などを監督。2001年には大作「メトロポリス」を発表。 日本アニメ黎明期から活躍する重鎮であり、国内外に大きな影響を与えている。 現在、最新作の3Dアニメ「よなよなペンギン」公開中! ● 2月27日(土) 午後7時〜9時 講師:合田経郎監督 合田 経郎 (ごうだ つねお) 電通プロックス(現・ 電通テック )、 ティー・ワイ・オー にて CMディレクター を務めた後、 2003年 株式会社ドワーフをたちあげてアニメーション作家として独立。日本放送協会 のキャラクター 、「 どーもくん 」や、 2007年 に劇場 公開された「 こまねこ 」など、「こま撮り」と呼ばれる手法を使用した 人形アニメ 作品で知られ、宇多田ヒカル 「ぼくはくま 」 のミュージックビデオ等を手掛ける。 合田さんのブログ、 ごーだのらくがき。ほのぼのしていて癒されます! どーもくんを「茶色い子」と呼んでいるのがかわいい。 こまねこの人形は我が校で人形関節の特別講義、WSをしていただいている小前隆さんが手掛けています。 アニメーション監督術、ただいま単回受講を受け付け中! 制作エピソード〜演出の方法論など、現役プロの監督たちが今考えていることを聴く。 是非ご参加ください! ・要受講予約/先着順 1回:1,800円(学生1,500円) 受講予約は"申込みフォーム"からお願いします。 予約受付メールが返信いたします。
アニメーション監督術第5回目の講師は片渕須直監督。
レポートが大変遅くなってしまい申し訳ありません。 ラピュタ阿佐ヶ谷での「マイマイ新子と千年の魔法」レイトショー上映も本当に大盛り上がりで、この講義のあった12月26日が最終日だったのが、年明けに再上映となりさらに再々上映が決まっています。 まさに一大ムーブメントを起こしている「マイマイ新子」 そのタイミングであったこの講義も沢山の人に来ていただき、「マイマイ新子」をより深く楽しめるエピソードや監督の思いを伝えることができたのでは、と思います。 受講者による講義レポートもあります! 詳しい講義の内容はこちらをご覧下さい。 ●ANIME'S IMPRESSION ●たまごまごごはん 片渕監督には以前ちいさな学校で講師をしていただいてまして、ちょうどその頃取り組み始めていたのが、「マイマイ新子と千年の魔法」だったということです。 その授業の中で、 「映画は必ずしも映像で表現することに縛られない」そして 「映像では語らない部分が観客に広がりを与えることがある」 ということを話されていたそうで、その考えが「マイマイ新子」にも反映されているとのこと。 「マイマイ新子」の原作は半分はノンフィクションということで、作者である高樹のぶ子さんのバックボーンがリアルに存在しています。それゆえ、物語を構築するときの方法として、「どう組み上げるか」ではなく、「どんな風にきりとるか」と考えたそうです。 講義では実際の高樹さんの子どもの頃の写真、ロケハンで撮った大量の写真などをスクリーンに映し、解説がされていきました。 「マイマイ新子」で表現したかったこと。 それは「ノスタルジーに頼らない普遍的なもの」 そして大人にも子供にも観てほしい、そんな両面性を持った作品に仕上げたかった、とのこと。 その思いがよくわかるTVスポットがこちら。 大人が子供に戻れる映画であり、子供は大人の違う一面を見ることができる。 一風変わったTVスポットですが、よくできてますよね。 片渕監督は、今までアニメーションをつくる際はキャラクターの設定や具体的な背景、細部をちゃんと描かないといけない、それをどうつくるかが大切、という考えを持っていたそうですが、もっと観客にゆだねる部分があってもいいのではないか。と考えるようになったとのこと。 確かに物語の中で出てくる昭和30年の世界と1000年前の世界のリンクについて、その理由や状況についての説明はありません。これはまったくの想像なのか、現実として起きていることなのか。そこの判断を観客にゆだねている、というわけです。 ただ「1000年前の世界」を表現する際、観客に具体的なイメージを与えるためにしっかりとした調査、裏づけは必須。沢山の資料からその努力は充分に伝わってきました。 ある部分で観客にゆだねた方がより面白い、ありきたりではない映画ができる、という監督の感性というか、選択はしっかりとした手ごたえを持って観た人に届いていると思います。 私も遅らばせながら映画を観させていただいて、はっきりと語られない状況とか、予定調和的でない展開がとても印象に残って、映画を観終わった後もじっくりとかみ締める、そしてもう一度観たくなる不思議な魅力を持った映画だな、と思いました。 「物語をいかに展開させていくか、というルールが主流となり普遍化されたことで何かが失われた」と片渕さんは語ります。 そして片渕さんが大学生の頃、友達から言われたという 「映画は人をびっくりさせるために作るもんだ」という言葉。 辻褄あわせをせず、不思議なことを不思議なまま描く。 それでも物語の着地点はこの映画独自の方法で用意されている。 講義を聞いて、映画を観て、ちゃんと納得がいきました! 穏やかな映画ながらも、観る人に新鮮な驚きや発見を与える「マイマイ新子」 2月12日までラピュタ阿佐ヶ谷にてレイトショー上映! まだ観てない、という方はお早めに! ![]() では、長くなりましたがこのへんで。 < 前のページ次のページ >
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